順天堂大学医学部附属 順天堂医院順天堂大学医学部附属 順天堂医院

インタビュー

早期肺がんには低侵襲手術、進行がんには多様な手立てを用意


呼吸器外科 主任教授
鈴木 健司

近年急増している肺がんは、1998年に胃がんを抜き死亡率第1位です。かつては、肺がんといえば喫煙とかかわりの深い扁平上皮がんでしたが、最近は喫煙と無関係に発症する腺がんが80%を占めています。肺の腺がんは女性に多く、比較的性質がおとなしい反面、喫煙者の場合は悪性度が高いという特徴があります。また、肺の腺がんは従来の肺がん検診である胸部X線検査や喀痰検査では見つかりづらく、早期発見には3年に1回のCT検査が有効です。


肋骨を切らない低侵襲手術で、社会復帰までの期間が短縮。

CT検査機器の進歩により、早期の肺がんにみられる“すりガラス状”の陰影が検出できるようになりました。淡い灰色に見えるすりガラス状の陰影は、がんの進行とともに濃い白色へと変化していきます。陰影が灰色の段階、つまり早期なら90%は治癒が可能ですが、たとえ進行がんであっても手立てはあります。当院は内科医と外科医が恊働し、多職種が連携する集学的治療に早くから取り組んでおり、手術適応の場合は肋骨を切らない低侵襲手術を行っています。肺に影があるといわれたらぜひ早めにご相談ください。

患者さんを全人的にとらえ、病の本質に迫る


総合診療科 教授
久岡 英彦

総合診療科は、臓器を特定せずに診療する科です。いろいろな病院や診療科を回ったけれども原因がわからないときや、初めての診療でどの科にかかればよいのかわからないとき、健康診断後の相談など、幅広い患者さんに対応しています。現在、国によって総合診療医の養成が検討されていますが、当院の総合診療科には20年の歴史があり、多くの医師も育ててきました。こうした取り組みの基盤にあるのは、順天堂の文化ともいえる“兼科”のシステムです。兼科とは、診療科の垣根を越えて患者さんを診ることで、臓器別診療ではこぼれ落ちかねない方をすくい上げ、適切な診断と治療につなげることが目的です。


何科にかかればよいかわからないときなどは総合診療科へ。

総合診療科というと振り分け外来と思われがちですが、入院ベッドもある、1つの確固とした独立性のある診療科です。決して見逃しの許されない大きな責任がありますが、患者さんを全人的にとらえ、仁の心でやさしく接することで病の本質に迫っていきます。症状に悩んでいる方は、相談だけでもよいのでお立ち寄りください。特定医師による予約診察室もご利用いただけます。

【予約診察室についてはこちら】

より低侵襲性でより高度な診療と他科との連携で最善を尽くす


産科・婦人科 教授
竹田 省

産婦人科は、お産全般を扱う産科、良性疾患の内視鏡手術と不妊症治療を行う生殖医療、更年期障害や骨粗鬆症などの女性ヘルスケア、悪性腫瘍などを治療する婦人科腫瘍の4分野に分けられます。当科はこれらすべてに対応していますが、より低侵襲性でより高度なものに進化しています。地域の病院が強固なネットワークを築き、小児科、小児外科も含めたよりよい医療を提供することが不可欠となっています。当科に課せられているのは、糖尿病や腎臓病などの慢性疾患、膠原病、難病などのために他科との連携が必要な患者さんの診療、特殊な手術など高度で低侵襲性な医療の提供、そして新しい治療法や技術を研究・開発し、普及させるという大学病院としての役割です。


患者さんの意向を可能な限り実現するために手立てを考える。

しかし、何よりも大切な責務は、困っている患者さんの声に耳を傾け、できるだけ意向に添う治療法を提案することだと考えています。例えば、将来妊娠・出産を希望していても子宮の温存は難しいといわれた方、がんの治療前の卵巣凍結を考えている方などは、セカンドオピニオンとして当科にご相談いただければと思います。ここ数年の産婦人科医療の進歩は目覚ましく、新しい治療法が誕生しています。

肝臓がんの低侵襲治療「ラジオ波焼灼術」で根治を目指す


消化器内科 教授
大学院医学研究科
画像診断治療学 教授
椎名 秀一朗

ラジオ波焼灼術は、皮膚を2~3mm切開し、超音波で観察しながらがんに直径1.5mmの細い電極針を刺し、熱で死滅させる低侵襲治療です。100℃に熱せられて生き残るがん細胞はなく、がんのかたまりをすべて焼き切ることができれば根治となります。全身麻酔や開腹手術が不要なため、高齢者や肝硬変の患者さんでも治療できます。体の負担が小さいため繰り返し実施することも可能であり、再発率の高い肝臓がんにはたいへん有効な治療法です。胃がんや大腸がんの肝転移(転移性肝がん)も治療可能であり、10年以上元気に過ごされている方が何人もいます。


画像診断技術を活用して小さな傷で体内のがんを焼き切るラジオ波焼灼術。

私は前任地では14年間に8500人の患者さんを治療してきました。当院では、医師の技術と経験、最新の機器、トレーニングされたスタッフのすべてがそろっています。痛み対策にも配慮しており、大半の患者さんではまったく痛みを感じないうちに治療を終了しています。がんが3cm以内3個以下という一般的な適応を超えた方の治療だけでなく、肝外病変の治療などにも倫理委員会の審議を得て積極的に取り組んでいます。血管造影や内視鏡など他の技術も活用し、低侵襲治療で世界をリードしたいと思います。

人間が人間たる故の病気だからこそ、1人の人間として接する


メンタルクリニック 教授
新井 平伊

精神疾患には、うつ病や統合失調症、アルツハイマー病などの比較的重い病気と、軽うつ、睡眠障害、神経性無食欲症(摂食障害)などのストレス性疾患があり、後者が急増しています。そこで、全国の大学病院に先駆けてメンタルクリニックの名称で精神神経科と心療内科を統合し、患者さんがいつでも相談できるよう、初診は予約なしで受診できるようにしました。
精神科の治療薬には優れたものがありますが、効果はその方の性格、家族との関係、仕事や住まいなどの環境の影響を受けます。薬はあくまでも補助的な杖であり、その方が自力で立つ手助けをするのが私たちの役割です。


附属6病院でメンタルクリニックを展開。都との連携も推進。

大脳皮質という人間のもっとも発達した部分で起こる精神疾患は、人間が人間たる故の病気であり、検査で異常がないからといって簡単に大丈夫ですということはできません。患者さんや家族が感じている小さな変化に1人の人間として向き合い、早めに受診してよかったといっていただけるような診療を心がけています。
認知症の診断と治療にも力を入れ、1999年4月に日本で初めての若年性アルツハイマー病の専門外来を開設。東京都認知症疾患医療センターとして、地域の病院やクリニックとの協力体制も強化しています。

患者さんへの思いやりを胸にロボット手術に取り組む


最新鋭ダヴィンチは2名の医師が手術可能。

前立腺など骨盤内の手術は、ダヴィンチに代表されるロボット手術が主流となりつつあります。そのメリットは、技術的水準の高い手術が行えること、患者さんの負担が軽いこと、医師のトレーニング期間が短いことの3つです。新しい技術の習得には何年もかかるものですが、ロボット手術は1.5年ほどですむため、もともと器用な日本人では質の高い手術が行える医師の層が厚くなっています。しかし技術革新のスピードは速く、2013年はじめに米国8病院で新しいロボット手術のトレーニングを受けた際、病巣を的確に切り取り、排尿などの機能を温存する正確性と、患者さんの回復の早さに驚いたほどです。


泌尿器科 教授
堀江 重郎

3Dナビゲーションや3Dプリンターによる実体模型など、血管の側にある腫瘍の切除など難しい手術に安心をもたらす技術も高度化し、当院でも新機種のダヴィンチSi2台とともに早くに導入しました。
高度な機器を使った技術を、あたたかみのあるものとして届けられるのは、順天堂の学是である“仁”に基づく思いやりがあるからです。患者さんに寄り添う医療を実現するために、栄養療法や運動療法、腸内細菌の調整など基本的な健康の維持、家族や住居環境への配慮などにも多面的に取り組んでいます。

トピックス

病院INFORMATION
  • 当院で実施している先進医療は下記のとおりです。(平成28年8月1日現在)
    ・多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術
    ・術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法
    ・ペメトレキセド静脈内投与およびシスプラチン静脈内投与の併用療法
    ・コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法
    ・パクリタキセル静脈内投与およびカルボプラチン腹腔内投与の併用療法
    ・アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法(当該疾病の症状時刻が明らかでない場合に限る。)
    ・角膜ジストロフィーの遺伝子解析
    ・神経変性疾患の遺伝子診断
    ・前眼部三次元画像解析
病院DATA

順天堂大学医学部附属 順天堂医院

住所
〒113-8431
東京都文京区本郷3-1-3
TEL
03-3813-3111
ホームページ
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/
アクセス
  • JR線「御茶ノ水」駅下車(御茶ノ水口) 徒歩約5分
  • 地下鉄(丸ノ内線)「御茶ノ水」駅下車 徒歩約5分/(千代田線)「新御茶ノ水」駅下車 徒歩約7分
  • バス(東京駅北口-荒川土手)または(駒込駅南口-御茶ノ水駅)順天堂前下車


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