学校法人 順天堂 順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター学校法人 順天堂 順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター

インタビュー

各診療科との緊密な連携のもと、高齢者の疾患に適切に対応。


副院長 教授
饗庭(あいば) 三代治

高齢者は、一人の方が複数の疾病に罹患されていることが少なくありません。そうした方がどの診療科を受診すればよいか苦慮することのないよう、高齢者総合診療科は、医療センターのそれぞれの診療科に受診を依頼する窓口としての役割を果たしています。そのために常に全診療科との連携を図り、各診療科で取り扱う疾患についてのミニレクチャーや、内科各診療科の症例検討会を毎週実施しています。

一方で当科では、発熱、食欲不振、体重減少といった、当初の診療科目の特定が困難な症状や兆候を持つ患者さんに対して、日本内科学会の総合内科専門医および日本老年医学会の老年病専門医をはじめとする医療チームが診断、治療に当たっています。平成24年度は、外来7014名(初診1120名、再診5894名)、入院260名の患者さんの診療を行いました。

今後も、総合的な医療知識はもちろん、社会保険制度や福祉にかかわる幅広い知識の習得に努めながら、「いかに患者さんの利益をまもり、その方らしく終末期を迎えさせてあげられるか」を心がけて、高齢者医療に向き合っていきたいと考えています。

家族介護者へのサポートにも配慮した安全で質の高い認知症医療を追求


副院長 教授
一宮(いちみや) 洋介

メンタルクリニックは老年精神医学に基づき、認知症を主として老年期うつ病、妄想性障害、不眠症など高齢者の精神疾患を対象とした診断・治療を専門的に行っています。予約制による外来診療のほか、認知症病棟と身体合併症病棟を計129床有し、認知障害や随伴症状によって家庭や施設での療養が困難となられた方の入院診療に当たっています。身体合併症病棟では一般診療科と連携して、肺炎、骨折、低栄養状態をはじめとする認知症の身体合併症への治療も行っています。認知症の随伴症状である幻覚・妄想、抑うつ気分、睡眠障害、不安、誤認などの精神症状や攻撃、興奮、徘徊・彷徨などの行動障害に対しては、精神医学的薬物治療を行ないます。薬物治療では2011年から販売が認可された新薬をすぐに導入し、治療の選択肢を広げるとともに、アルツハイマー病に対する原因療法に関わる最新の臨床試験も積極的に行っています。非薬物療法としては、生活機能改善訓練や嚥下体操などに力を入れ、食事や排泄、周辺症状等の改善を図っています。このほか、介護者へのサポートも大切な認知症治療の一つとして取り組んでおり、認知症家族介護者に向けた集団精神療法(グループ療法)を実施しています。

患者さんに安心と満足を提供する高齢者看護のエキスパートをめざして。


看護部長
鈴木 淳子

看護部では、「患者さんの尊厳を守り、患者さんに満足していただけるような看護を提供する」を基本方針とし、患者さんの多様な病態を総合的にアセスメントして適切に対応できるような看護実践能力の育成に努めています。

ご高齢の患者さんへの看護においては、感染症のリスク管理や、摂食・嚥下機能の衰えへの配慮、認知症や糖尿病を伴っている場合のそれぞれのケアなど、さまざまな対応が求められます。そうした高齢者の特性に配慮した「質の高い高齢者看護」を提供するために、各分野の認定看護師11名(感染管理2名、認知症看護3名、摂食・嚥下障害看護2名、緩和ケア1名、皮膚・排泄ケア1名、糖尿病看護2名)を中心として、病棟や外来で患者さんやご家族に対する援助・指導を実践しています。また、看護師の配置については、ゆとりをもって行っています。さらに、多職種との連携によるチーム医療にも力を入れており、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などによる褥瘡対策チームや栄養対策チームが病棟を巡回して、多面的な視点から患者さんにとって最適な医療の提供に努めています。

目標は患者さんの生活の質を高く維持していくこと


院長補佐・診療部長 教授
古川 芳明

高齢化社会をむかえ、一部の神経細胞が徐々に死滅してしまうために生じるパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患を有する患者さんの数は年々増加してきています。当高齢者医療センターの脳神経内科では5人の日本神経学会専門医が、火曜・水曜の午前に設けたパーキンソン病関連疾患の専門外来も含めて、運動障害疾患(パーキンソン病・進行性核上性麻痺・多系統萎縮症・脊髄小脳変性症など)、認知症を前景とする疾患(アルツハイマー病・レビー小体型認知症など)、および脳血管障害の患者さんを毎日診療しています。

神経変性疾患の治療は生涯におよぶことが多いため、患者さんの生活の質を重視した診療を心がけています。生活の質をできるだけ高く維持するためには、患者さんとご家族の方々にも病気のことに関して学んでいただき、転倒による骨折や嚥下障害による誤嚥性肺炎の併発を防いでいくことが重要となりますので、話し合いの機会を多く設けるようにしています。

患者さんと平等の立場で接して真摯にお付き合いしていくことが大切と考えており、当高齢者医療センター内のリハビリテーション科・メンタル科および地域の医療機関・福祉施設の方々と連携を図り、個々の症例に適した長期的な治療を行っています。

地域も参加する「チーム医療」で糖尿病治療に取り組む


糖尿病内分泌内科 科長・准教授
吉井 秀徳

当院の糖尿病患者の特徴としては、高齢者や認知症、介護を伴う患者さんが多いことです。高齢者糖尿病では、病態的な特徴があり、食後高血糖が顕著であったり、典型的な低血糖症状が出にくいです。それに加えて、身体的・精神的背景、家族関係などの社会的条件の個人差が大きいです。脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症といった3大合併症の併発とともに、高齢のために、虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患の合併が多く、これらが予後に大きく影響します。

さらに高齢者糖尿病の特徴として高次脳機能障害があり、記憶力、学習能力、集中力、注意力、思考力などの認知機能が低下し、うつ状態になることが多く見られます。認知機能低下は血糖管理が不良な例に顕著ですが、薬物療法によって低血糖の頻度が多い例にもみられるので注意が必要です。なお認知機能低下やうつ状態が夜間の低血糖によって出現し、増強されることもあります。

治療は、患者さんとの意思疎通が保たれていること、内服薬、注射製剤の治療が継続できていることが大切です。高齢者になると上述したことや、認知症の進行により、これらが困難となってきているということも経験します。これらのことから、患者さんのみならず、ご家族を巻き込んでの治療がとても大切になります。そして、こういった患者さんの変化や状況は、医師の診察のみでは、気付きが遅くなりがちです。

当院では、医師と医療スタッフ(看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、検査科)で「チーム医療」を行っております。当院では、「チーム医療」のミーティングを定期的に行っており、患者さんのバックグラウンドの情報(理解度、メンタル面、体力、費用、家族関係など)を交換し、その患者さん個々に最適な治療の提供に努めています。

施設内での連携に加え、やはり地域の医療連携も重要になります。

東京都の区東部二次保健医療圏(江東区、墨田区、江戸川区)では、2007年に3医師会と行政が合意協力して「区東部糖尿病医療連携検討委員会」を設立しました。2013年度からは当センターに事務局が設置され、私が事務局長を務めております。この医療連携では、地域の診療所医師、病院勤務医や眼科医を中心に医療スタッフも参加していることが大きな特徴です。登録医は約350人であり、登録医療スタッフは約140人です。

糖尿病の治療には、患者さん、ご家族、医師、医療スタッフ、行政の方といった人たちが関わっています。人と人とのつながりがとても大切であると実感しております。施設内、地域での密接な連携が重要であり、よりよい治療、医療を提供できるように努力していきたいと思います。

脊椎疾患で苦しんでいる方へ新しい人生を提供したい


整形外科 准教授
野尻 英俊

当科では、高齢者が多い関係上、脊椎や関節の変性疾患や骨折の患者さんが多いといえるでしょう。中でも、脊椎の疾患については、私の専門でもあり、最新の治療を実践しています。

脊椎は基本的に大きな手術になる傾向があります。高齢者では合併症の発生を誘発したり、術後の回復が悪かったりといった状態にもなりがちです。そのため、低侵襲な手術が必須となります。

当科の脊椎の手術では、顕微鏡や神経モニタリング、エックス線透視装置を用いた手術を行うことで出血量が比較的少なく済むため、術後の回復がこれまでより順調に進むことで合併症の可能性を抑え、特に高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症にその効果が期待できます。

超高齢社会にもかかわらず、整形外科のスクリーニングや予防医学の体制は確立していません。骨粗鬆症の潜在を見逃すと、骨折など重篤な状態を引き起こすことになります。「木を見て、森を見ず」にならないように原疾患の治療にもきちんと対応するように注意しています。

骨密度と骨代謝マーカーを測定し、適宜薬を服用することで、骨粗鬆症を予防し、改善することは可能になってきました。当院では、最新の骨密度計測装置を導入して、近隣の医師からの計測の依頼にもできるだけ応えるようにしています。

高齢者にとって、歩くことは運動機能の低下を防ぐことに直結しています。脊椎の疾患で生き方を変えざるを得なくなった人たちへ、新しい人生を提供したいと考え、治療に取り組んでいます。

病院DATA

学校法人 順天堂 順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター

住所
〒136-0075
東京都江東区新砂3丁目3番20号
TEL
03-5632-3111
ホームページ
http://www.juntendo.gmc.ac.jp/
アクセス
  • 【電車の場合】 東京メトロ東西線南砂町駅より徒歩5分(3番出口 エレベーター・エスカレーターあり)
  • 【バスの場合】 ①JR総武線亀戸駅より「江東高齢者医療センター」行き(亀23系統) 約25分
  • ②東京メトロ東西線東陽町駅より「臨海車庫」行き(錦22系統) 約10分
  • ③東京メトロ東西線東陽町駅より「東大島駅前」行き(陽20系統) 約10分

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