聖マリアンナ医科大学病院聖マリアンナ医科大学病院

インタビュー

順調に実績を重ねる低侵襲のTAVIと心筋冷凍焼灼術

明石 嘉浩
内科学(循環器内科)教授
循環器内科 診療部長
明石 嘉浩

循環器内科では、高画質の血管透視画像装置を備えたハイブリッド手術室の機能を活用し、2016年1月から、心臓血管外科との連携によりTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を実施して、良好な治療成績を重ねています。TAVIは、外科手術による通常の大動脈弁置換術が受けられない患者さんに適用できる、画期的な弁膜症の治療法です。当院は厳しい審査をパスしてTAVI実施施設の認定を取得し、2016年1月末から12月末までに62件のTAVIを実施。開始1年目から早くも手術件数で全国トップクラスに躍り出ました。当院のTAVIは、エコー(超音波検査)医がリーダーとしてハートチームを牽引し、術者がエコー医のナビゲーションに従って手技を進める点に特徴があり、全国のTAVI実施施設の注目を集めています。


胸を切開せずに大動脈弁を人工弁に置き換えるTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)は、多数のスタッフの連携により行う。

2016年4月から開始した、発作性心房細動に対するクライオアブレーション(心筋冷凍焼灼術)も順調に実施経験を重ね、治療部位を高温で焼灼する従来からのアブレーション治療と合わせて、多くの不整脈の患者さんに良好な治療成績をもたらしています。
また、当科では最近、血栓の付着した肺動脈の内腔をバルーンで拡張するBPA(バルーン肺動脈形成術)を新たに開始したほか、心房中隔欠損症(左右の心房を隔てる壁に孔が開いている先天異常)の孔を塞ぐ経カテーテル的心房中隔閉鎖術の実施施設認定を取得するなど、新しい治療法を積極的に取り入れています。

気管支鏡による診断と治療で患者さんを呼吸器病の苦しみから解放する

田中 逸
内科学(呼吸器内科)教授
呼吸器内科 診療部長
峯下 昌道

呼吸器内科では、各種呼吸器疾患に対する薬物療法や呼吸リハビリテーションなどの内科的治療を基本としながら、近年、開発が進んだ気管支鏡によるさまざまな検査・治療デバイスを駆使し、精度の高い検査や、肺がん、気管支喘息、COPD(閉塞性肺疾患)などの重い症状に悩む患者さんに対する、内視鏡的治療を積極的に行っています。
肺がんに対しては、栗本典昭客員教授から学んだ気管支鏡技術を生かして、高い診断率を目指した検査を実施しております。また、気管支鏡を用いた内視鏡的治療で著名な宮澤輝臣特任教授を中心に、肺がん等による気道狭窄で引き起こされた呼吸困難を改善するため、レーザー腫瘍焼灼術や、ステント留置による気道拡張術などを行い、成果を挙げてきました。


気管支鏡で治療部位を監視しながら行う気管支サーモプラスティ(BT)。

気管支喘息に対しては、薬物治療でコントロールが難しい重症例に「気管支サーモプラスティ(BT)」を平成27年6月から実施しています。BTは気管支鏡を通して挿入したプローブで気管支内壁を65℃に加熱し、気管支平滑筋を消失させる治療法で、長期にわたり喘息発作の発生を抑制する効果が報告されています。当科ではこれまで既に10例の治療を終了しています。
COPDの代表的な疾患である肺気腫の重症例に対しては、一方向弁(息を吐くときだけ開く弁)の機能を持った人工のバルブを気管支に挿入し、肺気腫のため腫脹し機能の落ちた肺葉の容積を減少させる内視鏡的治療の臨床治験に参加中であり、昨年1例実施いたしました。また同じく肺気腫に対して、形状記憶合金製のコイルを気管支に挿入し、コイルの縮む力を利用して肺葉の容積を減少させる治療も、現在、臨床研究を計画中です。

診断・治療・ターミナルケアまで一貫した乳がん医療

津川 浩一郎
外科学(乳腺・内分泌外科)教授
ブレスト&イメージング先端医療センター センター長
乳腺・内分泌外科 診療部長
津川 浩一郎

乳がんは、数多くのがん種の中でも比較的早くから多様な治療法が発達し、今日なお治療の選択肢が増え続けています。当院では、手術(年間手術件数は全国3位)、放射線治療、抗がん剤、ホルモン療法、分子標的薬などの標準治療を実施する一方、新薬の治験などにも積極的に参加し、既存の治療法についても、常に最新バージョンを取り入れるようにしています。
治療の選択は、がんのステージ(病期)やサブタイプ(種類)を見極めたうえで行います。がんの広がりを画像検査で確認し、その結果と患者さんの希望を考慮して総合的に判断し、「乳房切除術(全摘出)」または「乳房部分切除術(温存手術)」、乳輪や乳頭を残す「乳頭温存乳房切除術」を選択します。最近は、切除術と同時に乳房再建術を希望する患者さんが増えています。また、若年性乳がんで将来の妊娠・出産を希望する方には、当院生殖医療センターと連携して行う妊孕性温存治療のオプションを提示しています。


乳がんのほか、甲状腺がん、乳腺疾患、甲状腺・副甲状腺疾患などの手術も行う。

がんが進行、転移、または再発した場合は、関係各科による集学的治療を行っています。例えば脳転移に関しては、当院での手術(脳神経外科と連携)、放射線治療に加え、外部の施設と連携しガンマナイフやサイバーナイフといった定位放射線治療も採用しています。また、院内では、多職種による緩和ケアチームが患者さんの闘病を支援し、メディカル・サポートセンターが退院後の療養生活に必要な社会資源、近隣の病院の紹介などを行います。患者さんに、元の日常生活に復帰していただくことを目指して、診断・治療・ターミナルケアまで一貫した医療の提供に努めています。

世界初の「卵胞活性化療法」などで難治不妊症の治療に道

河村 和弘
産婦人科学(産科) 准教授
生殖医療センター センター長
河村 和弘

当センターでは、新しい不妊治療の方法である「卵胞活性化療法」を世界で初めて開発し、これまで自分の卵子では妊娠不可能とされてきた早発閉経(早発卵巣不全)の女性にも、妊娠・出産への道を開くことに成功しました。
不妊症は、女性に原因があるケースが1/3、男性側にあるケースが1/3、男女双方にあるケースが1/3で、全体的には、ほぼ男女同等ですが、不妊治療に特に難渋することが多いのは、男性より女性に原因があるケースです。男性の精子が毎日新たに精巣で作られ続けるのに対して、女性の卵子は誕生前に個数が決まっていて、生後はその数が減り続け、同時に卵子の質も年齢とともに低下するため、個人差はあるものの、40歳代の中頃には妊娠は非常に困難になります。質の低下した卵細胞を若い頃の状態に戻すことはできません。近年、40代以降の妊娠・出産を希望するカップルが増えていますが、女性に “妊娠適齢期” があることを知っておくことは、とても重要なことです。


成熟した卵子。卵子は加齢とともに数が減少し、質が低下するので、妊娠には“適齢期” がある。

40歳未満で閉経を迎える早発閉経は決して珍しくありません。生理不順は、その前兆である可能性があります。将来、妊娠を望む女性で、不規則な月経が続いている方には、産婦人科で「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」を測定し、卵巣の状態を確かめてみることをお勧めします。採血だけの簡単な検査です。
なお、当センターでは、さまざまな事情で現在の妊娠を望まず、将来の妊娠を希望する方のために、卵子の凍結保存の相談にも応じています。

スタッフのレベルアップで さらに強力な救急医療を目指す

藤谷 茂樹
救急医学教授
救急科 副部長
藤谷 茂樹

当院が立地する川崎市は、医療計画上、北部医療圏(人口約85万人)と南部医療圏(同約65万人)に分けられ、当院は北部医療圏で唯一の救命救急センターとして、圏内の8つの救急指定病院とともに当地域の救急医療の中核を担っています。
従来、この地域の救急医療体制は、当院が90% を超える「応需率」(救急車の受け入れ率)を維持する一方で、救急医療の地域における「完結率」が60%程度に留まるなど、必ずしも十分なものとはいえませんでした。今後、院内の救急スタッフやシステムのレベルアップと、他施設との効率的な連携によって、全国の模範となるような強力な体制に作り 変えていきたいと考えています。


入院患者の急変時に救急チームが駆け付けるRRSは聖マリアンナ医科大学病院が全国に先駆けて導入した。写真はRRSの器材一式。

強力な救急医療の構築のために何より必要なのは、「人」です。当院では、すべての臨床研修医が1次救急からの救急医療を体験し、レジデント以上のすべての医師が後輩に救急医療を指導する義務を自覚しています。また、超高齢社会を迎え、複数の疾患を抱える人が増えた今日、救急医には、複合的な視点で患者を診る「総合内科」の診療能力が求められています。そのような医師を育成するために、私が米国の医療現場で学んだ総合診療の経験が役に立つと考えています。
当院では今後、一定範囲の医療行為を行う資格を持ったNP(ナースプラクティショナー)が救急チームに加わり、医師をサポートする予定です。一方、当院が約10年前から運用しているRRS(院内急変対応システム)も、院内全スタッフの救急への意識を高めることに貢献しています。

患者さんの意志決定を支援できる看護師の育成を目指す

本舘 教子
副院長
看護部 部長
本舘 教子

「コア・ケア・キュア」の3つのアプローチにより患者さんの回復を促進することが当院看護部の変わらない理念であり、このうち「コア」を看護の中心に据えています。コアのアプローチは、患者さんが人間として存在しているという前提があることに注目します。患者さんが退院するなら、帰宅後にどんな生活を望むのか。障害が残るなら、どんな支援を望むのか。回復の見込みがないなら、どのように最後のときを過ごしたいのか。このような、患者さんの人生にとって重大な意思決定を、看護独自の立場から支援するのが、コアのアプローチです。ケアは、患者さんに対する直接的ケア、キュアは、診療の補助、患者さんが治療を選択する際の意思決定の支援などを意味しています。コアは、患者さんや家族と関わり合う体験を数多く重ねることによって学びを深めることができます。当院看護部では、コア・ケア・キュアを同時に実践できる看護師の育成を目指して、5年間の教育プログラムとラダー別教育プログラムを整備し、看護師の成長を支援しています。教育は、臨床から離れて行う集合学習と、日常の看護業務の中で「計画→実践→リフレクション(省察)→言語化・概念化」のサイクルを繰り返す現場での学びの2本立てで行われ、看護師たちはそれぞれ自分の目標到達度を確認し、上司や先輩看護師の実践的なアドバイスを受けながら学びを深めています。当院の看護師は、常に働きつつ学び、成長の途上にある存在であることをご理解いただきたいと思います。

※このページの記事は2017年4月24日に掲載したものであり、医師名、肩書き等の情報は掲載当時のものです。

病院INFORMATION
病院DATA

住所
〒216-8511
神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
TEL
044-977-8111
ホームページ
http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/
アクセス
  • 小田急線向ヶ丘駅より小田急バス20分
  • 東急田園都市線溝の口駅・JR南武線武蔵溝ノ口駅より市営バス20分
  • 車の場合は東名川崎 I. C. より20分


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ブレスト&イメージング:先端医療センター附属クリニック

理事長インタビュー:明石勝也 聖マリアンナ医科大学 理事長

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