聖マリアンナ医科大学病院聖マリアンナ医科大学病院

インタビュー

ハイブリッド手術室が稼働し、より負担の少ない治療が可能に

明石 嘉浩
内科学(循環器内科)教授
循環器内科 診療部長
明石 嘉浩

当院では、循環器内科と心臓血管外科とが協調して診療にあたり、非常に良好な治療成果を挙げています。2015年4月から本格稼働したハイブリッド手術室では、懸垂型の血管撮影装置を備え高画質な透視・3D撮影ができ、循環器内科のカテーテル手術と心臓外科手術を組み合わせて行うことが可能です。
今年の1月からはTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を行う施設として認定され、川崎市内で唯一の実施施設となりました。TAVIは、通常の大動脈弁置換術を受けられない状態の患者さんに適用できる侵襲度の低い(身体にやさしい)治療法です。


開胸することなく大動脈弁狭窄症が根治できる経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は、循環器内科・外科の協働作業で行う。

さらに、この4月からは心房細動に対する新しい治療法としてクライオアブレーション(経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術)を実施しています。これまでは不整脈の原因となる心筋組織を熱で火傷させる方法が一般的でしたが、それよりも手術時間が短縮でき、成功率が同等であるのが冷凍技術によるクライオアブレーションです。
また、高齢や合併症などで外科的手術が困難な人を対象とした欧米のカテーテル治療法は、いまのところ日本では治験段階ですが、今後は積極的に取り入れていきたいと考えています。

的確に診断し、最新の治療法で重症の呼吸器疾患を救う

田中 逸
内科学(呼吸器内科)教授
呼吸器内科 診療部長
峯下 昌道

呼吸器内科の特徴は、気管支鏡を中心とした内視鏡的診断・治療です。最近増加している肺がんの診断については、当院呼吸器外科の栗本典昭先生の指導のもと、より高い診断率を目指した気管支鏡検査を実施しています。肺がん等により気道が狭くなり呼吸困難に陥った患者様には窒息を回避するためレーザーで腫瘍を焼灼したり、ステントを留置する等の気道拡張術を行いますが、この分野の第一人者である宮澤輝臣特任教授を軸としてこれまで成果を上げてきており、今後も引き続き実施していきます。また気管支喘息に対する気管支鏡による治療である「気管支サーモプラスティ(BT)」は、喘息発作を引き起こす気管支の筋肉の働きを弱め、発作が起こらないようにする治療で昨年6月から当院でも開始いたしました。BTは吸入ステロイドと気管支拡張薬を併用しても喘息症状がコントロールできない18歳以上の患者さんが対象とし、喘息発作の程度や回数、及び日常生活の制限が軽減する等の効果が期待されます。


気管支に内視鏡を入れて行うサーモプラスティ(BT)は、重症の喘息発作を緩和する新しい治療法。

十分に内科的な治療を受けても呼吸の苦しさが取れない肺気腫の患者様に対しても、最近気管支鏡による治療が開発されてきました。その一つに一方向弁の機能を持つバルブを気管支に挿入し、治療対象となる肺葉の容量を減少させて症状の改善を目指す治療があり、現在全国で臨床治験が実施中です。肺気腫の新しい治療としての有用性を評価するこの治験に私たちも参加しております。
このように気管支鏡検査・治療を主たるテーマとしておりますが、もちろん一般的な呼吸器疾患に対しても真摯に治療を行っております。

診断・治療・ターミナルケアまで一貫した乳がん治療

津川 浩一郎
外科学(乳腺・内分泌外科)教授
ブレスト&イメージング先端医療センター センター長
乳腺・内分泌外科 診療部長
津川 浩一郎

乳がんは、ステージ(病期)やサブタイプ(乳がんの種類)によって治療法は異なります。手術(手術数は全国第3位)、抗がん剤、ホルモン療法、分子標的薬などの標準治療はもちろん、新薬による治験も積極的に行い、アップデートされる最新の治療法を取り入れるようにしています。
がんの広がりを画像診断で確認し、その結果と患者さんの希望とを総合的に判断し「乳房切除術(全摘出)」または「乳房部分切除術(温存手術)」、乳房の皮膚を残して乳腺だけを取り除く「皮下乳腺切除術」、乳輪や乳頭を残す「乳輪乳頭温存乳房切除術」を選択します。最近は、切除術と同時に乳房再建術を行う人が増えています。


乳がん、甲状腺がん、乳腺疾患、甲状腺・副甲状腺疾患など年間手術数は豊富。

進行・転移(再発)した場合は、関係各科による集学的治療を行うとともに、多職種による緩和ケアチームが支援し、退院後の療養生活に必要な社会資源、近隣の病院の紹介などは、メディカル・サポートセンターに相談できます。遺 伝子検査に基づいた予防手術を希望する方も増えてきています。患者さんが元の生活に戻り、社会復帰していただくために、診断・治療・ターミナルケアまでの一貫した治療を行い、地域に密着した総合力を高めていきたいと考えています。

世界初の不妊治療など高度な技術で不妊の悩みを解消

河村 和弘
産婦人科学(産科) 准教授
生殖医療センター センター長
河村 和弘

がんの化学療法や放射線治療、膠原病などの治療によって卵子がダメージを受ける可能性がある場合は、治療前に卵子を採取して凍結保存しておくことで、治療寛解後に妊娠できる可能性を残すことができます。
また、40歳未満で閉経を迎える早発卵巣不全(早発閉経)は、100人に1人が発症する病気で、単なる月経不順だと思っていたら実は早発閉経だったということも稀ではありません。将来の妊娠・出産の可能性を考慮するうえで早発閉経の早期発見が重要ですので、月経が3ヵ月以上ない場合は血液検査をし、残された卵胞数がわかるAMHというホルモン値を調べるとよいでしょう。
早発閉経の場合、これまでは自らの卵子では妊娠不可能とされてきましたが、4年前に自らの卵子で妊娠できる「卵胞活性化療法」を世界で初めて開発しました(※)。


最新の培養室を備え、一般不妊から難治性不妊まで豊富な成功例を持つ。

腹腔鏡手術で卵巣を摘出し、卵巣内にわずかに残っている休眠状態の原始卵胞(卵子のもとになる細胞)を薬で刺激して目覚めさせ、成熟したときに体外受精し子宮に戻すという方法で、専門外来を持っているのは日本で当院だけです。
一般不妊治療、精巣内精子採取術など、最新の生殖補助技術を用いるとともに心のケアを含め男女ともにサポートしています。

※ 「Hippo signaling disruption and Akt stimulation of ovarian follicles for infertility treatment.」 PNAS.110(43):17474-9,2013より

患者さんの術後のQOL(生活の質)を重視した手術を選択する

宮入 剛
外科学(心臓血管外科)教授
心臓血管外科 診療部長
宮入 剛

心臓血管の手術の最大の目的は、患者さんが元気な状態となり元の生活を取り戻していただくことです。疾患や病状、年齢はもちろん、家族関係、生活環境なども含め患者さんをトータルに把握し、術後のQOL(生活の質)を考慮したうえで、その患者さんにとって最良の治療法を選択しています。
動脈硬化症が原因となる虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術は、人工心肺を使わず心臓も止めずに行うバイパス手術(オフポンプ)を積極的に行っています。


早い社会復帰が望める低侵襲弁形成術を積極的に行っている。

実技訓練により、つねに手術技術の向上に努めている。

僧帽弁膜症では弁形成術を第一選択にし、ハイブリッド心臓大動脈疾患治療センターでは、胸部および腹部大動脈瘤に対する正確で安全なステントグラフト治療を行うなど、手術による身体的負担が少ない低侵襲治療を優先しています。
また、当院には救命救急センターと心臓血管疾患を専門的に治療するハートセンターがあり、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などの緊急手術には24時間体制で対応しています。昨年からはハイブリッド手術室も稼働し、冠動脈バイパス術+カテーテル治療など、循環器内科医と一緒に治療にあたることで、より低侵襲で精度の高い手術を実現できるようになり、また、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI、TAVR)を実施し、高齢化社会に貢献できる医療を目指しています。

がん治療の情報を一元化し、個々の患者さんの療養生活を支える

中島 貴子
臨床腫瘍学 教授
腫瘍センター センター長
腫瘍内科 診療部長
中島 貴子

すべてのがん患者さんに標準治療以上の質の高い治療を提供するため、臨床腫瘍学(腫瘍内科)のメンバー、内科や外科、放射線科、病理学、緩和医療チームなどの医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなどでチームをつくり、部会やキャンサーボード(カンファランス)で情報を共有しています。
抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤などについては、効果や副作用を含めた最新データに基づいて総合的に適応を判断し、個々の患者さんにとって最適な治療を選択します。がんの場合、新規の治療を希望する患者さんが多く、新薬の安全性や有効性を検証する臨床試験(治験を含む)への参加のチャンスや情報提供を積極的に行うとともに、その患者さんにメリットがあるかどうかを慎重に判断したうえで、より革新的な治療の提供を目指しています。


がんの患者さんの治療と生活を温かくサポートする「患者ラウンジ」「がんサロン」を整備。

また、がんの患者さんのすべての時点で重要なのが緩和医療です。治療に関する悩みはもちろん、痛みや吐き気、食欲低下、生活や仕事、経済的な不安といった身体的・精神的な苦痛を緩和するため、関連各科や緩和医療チームとが密接に連携し、チーム一丸となって支援します。がん治療の早い段階から緩和医療がかかわることによって、患者さんやご家族のよりよい療養生活につながります。

病院INFORMATION
病院DATA

住所
〒216-8511
神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
TEL
044-977-8111
ホームページ
http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/
アクセス
  • 小田急線向ヶ丘駅より小田急バス20分
  • 東急田園都市線溝の口駅・JR南武線武蔵溝ノ口駅より市営バス20分
  • 車の場合は東名川崎 I. C. より20分


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ブレスト&イメージング:先端医療センター附属クリニック

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