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ドクターインタビュー 〜 ドクターの肖像一覧

世界に冠たる慶應義塾大学病院――
麻酔科医として培った“指揮者”の統制力(1)

武田 純三 (たけだ・じゅんぞう)
慶應義塾大学病院院長

 朝の9時半。JR中央線信濃町駅の改札を出ると、大勢の人々が信号待ちをしている。信号が青になろうとするとき、待っていた人々が一斉に一つの建物に向かって足早に歩き始め、やがてその建物に吸い込まれていく。慶應義塾大学病院前の朝の日常である。

 慶應義塾大学病院の外来診療が始まるのは、特定の診療科を除き午前8時40分。そして、受付順に診察が始まる。大学病院などの特定機能病院は、医師の紹介なしで初診を受けた場合は、診察料のほかに「選定療養費」5250円が必要となる。それでも、大学病院を訪れる初診患者が減ったという話はほとんど聞かない。ここ慶應義塾大学病院もご多分に漏れず、初診患者で待合室は毎朝混雑する。

愛知県名古屋市の自宅にて(2歳頃)

 今年7月7日から、待ち時間解消を目的に内科の初診にも予約制が導入された。皮膚科が先行していたが、内科が加わり、精神・神経科、歯科・口腔外科とともに初診外来も予約制に変わった。電話であらかじめ診療の時間枠を予約するもので、紹介状がない場合は、病院1階受付にある「新予約制ご案内係」で振り分けられることになる。これで駅から病院への人の流れも少しは変わりそうだ。

「この2年で、業務フローを中心に病院改革を進めて来ました。まず取り組んだのが、患者さんの待ち時間の解消です。昨年、皮膚科外来を手始めに初診予約制を導入しましたら、うまく動きましたので、対応する科目を広げました」と語るのは、一昨年、院長に就任した武田純三氏である。来年1月までには対応する診療科がさらに増えるとのことだが、これと並行して、カルテの電子化の作業も進めている。

「本来は、一患者一カルテが基本の時代ですが、残念ながら、慶應義塾大学病院では診療科ごとにカルテが存在していました、それを患者さん単位で一つにするので、大変な作業になっています」。まずは、診療科ごとに分かれていた同一患者のカルテを一本化し、来年の1月に向けてそのカルテを電子化するため、毎週1回ほど会合を開き、急ピッチで作業が進められている。

「一般的には、トップが決めたことは、有無を言わさずに実行みたいなところがありますが、慶應義塾大学病院はそれとは異なる風土があって、トップダウンでものごとを進めるのは意外に難しいのです。カルテの電子化で会合を頻繁に開いているのも、そういうところがあるからかもしれません。いったん納得してもらえれば、逆に進んで協力してくれるようになるので、とんとん拍子で作業が進みます。おそらく、塾長が指示を出しても決まらないのが、慶應義塾全体の風土かもしれませんが……(笑)」

(2)へ続く

記事提供:株式会社メディカル・プリンシプル社
『DOCTOR'S MAGAZINE』2011年10月号より
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プロフィール

「患者さんに家族がいることを忘れないでほしい。
家族のことも把握するのが良き医師の必要条件」
武田純三 (たけだ・じゅんぞう)
慶應義塾大学病院院長
1973年慶應義塾大学医学部卒業
1973年慶應義塾大学医学部麻酔科卒後訓練医
1983年メリーランド大学医学部麻酔科
1985年国立東京第二病院麻酔科医長
1987年慶應義塾大学医学部麻酔科講師
1988年慶應義塾大学医学部一般集中治療室副部長兼務
1993年慶應義塾大学医学部麻酔科助教授
1997年慶應義塾大学医学部麻酔学教室教授、一般集中治療室部長
2005年慶應義塾大学医学部長補佐
2009年慶應義塾大学病院院長

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