【特集】がん放射線治療特集
きらずに治す ガン放射線治療とは

今までのがん治療は、からだにメスを入れる手術が主役でした。しかし、ここ数年前から患者さんにやさしい治療方法として「放射線治療」がクローズアップされてきています。今注目を浴びる「放射線治療」とは、そのメリットは。いろいろなお話しを東京女子医科大学名誉教授の倉公朋氏にお伺いしました。

Q.放射線治療のメリットは何ですか?

手術と違い臓器の形や機能を温存できるため、身体に与えるダメージの少ないことが最大のメリットといえるでしょう。がんの種類や進行度によっては、放射線治療で手術と同程度の治療効果を見込めます。また多くの場合は通院で治療でき、入院が必要であっても短期間ですむので、仕事や家庭生活に与える影響が少ないことも利点です。

放射線治療は単独で行うこともありますが、抗がん剤治療や手術と併用して行うこともあります。放射線治療は、手術の前に行って腫瘍を小さくすることによって治療効果をあげることが目的です。そのほか、再発したがんを治療したり、がんによる痛みを軽減させるなど、さまざまな場面で幅広く活用されています。

Q.最新の放射線治療にはどのようなものがありますか?

100年以上の歴史を持つ放射線治療ですが、最近の進歩は目覚ましいものがあります。 がんの形や大きさ、位置を、CT、MRI、PETなどの画像技術とコンピュータを使って割り出し、腫瘍だけに集中的に放射線を照射する三次元原体放射線治療(3D-CRT)、これをさらに進化させた強度変調放射線治療(IMRT)などもすでに一般化しています。

放射性物質を密封した小さなカプセルなどを身体に埋め込み、体内から放射線を照射する方法も普及しつつあります。

また、γ線という放射線を使って脳腫瘍等の治療を行うガンマナイフ、さらに陽子線、中性子線、重粒子線を使ったものなどさまざまな治療法の開発が進んでいます。

Q.脳腫瘍などを治療するガンマナイフとはどのようなものですか?

放射線の一種であるγ線を使う治療法で、病変部分をピンポイントで攻撃できます。ヘルメット状の装置に、γ線を出すコバルト60という放射性物質が201個ついていて、そこから1本1本放射線ビームが照射されます。個々のビームは細いのですが、線源が201個もあるためパワーは強力。それでいて周辺の正常な組織にはほとんど影響を与えず、照射を受けた病変部だけが凝固・壊死します。

脳腫瘍のほか、脳の血管の奇形やてんかん、三叉神経痛、パーキンソン病に対して有効です。転移性脳腫瘍の治療法としては、一番安全で有効な治療法として広く活用されています。脳の奥にある腫瘍に対しても使え、複数の腫瘍を一度に治療できるなど多くの利点があります。痛みの除去など、今後さらに使用範囲が拡大すると期待されています。

Q.ガンマナイフとサイバーナイフの違いは何ですか?

どちらも定位放射線治療と呼ばれる治療法のひとつですが、ガンマナイフは多数のγ線(X線と同等)を集中して使い、サイバーナイフは一本のX線を回転して、一点に集中させて使っている点が一番の違いです。また、ガンマナイフはヘルメットのような装置で頭を固定して行いますが、サイバーナイフはロボットアームにX線を発生させる装置が取り付けられたもので、それが頭のまわりを動き、コンピュータ制御で正確に病変のある部分をキャッチしながら照射するという仕組みです。

ガンマナイフの方が先に開発され、日本には1990年に第一号機が導入されました。現在までに全世界で50万例、国内でも12万例も実施されています。あとに開発されたサイバーナイフは頭蓋内だけでなく首より下の部分まで治療できるのがメリットです。

倉 公朋 (タカクラ キントモ)
東京大学名誉教授
東京女子医科大学名誉教授
早稲田大学特命教授

1932年東京生まれ。58年東京大学医学部卒。大学院、米国留学を経て、68年国立がんセンター脳神経外科医長。81年東京大学医学部教授。92年東京女子医科大学教授。97年同大学長就任。国際脳神経外科学会連合名誉会長。米国脳神経外科アカデミー会員。ドイツ脳神経外科学会名誉会員。中国医学会名誉会員等。

また、日本脳神経外科学会では、会員だけのフルオーケストラを組織、演奏をしている。

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