院長インタビュー:天野篤(順天堂大学医学部附属 順天堂医院長)

2016年9月14日

我が国で、いち早く西洋医学を取り入れた医学塾として江戸時代(天保9年)に開設し、180年近い歴史を持つ順天堂医院。まもなく新棟が完成し、あらたな時代を迎えようとしています。新棟には、周産期センターや難病治療センターなど高度な医療を提供する施設が配置されるなど、今の日本社会が求めるニーズに応えようとする姿勢が明確です。少子・高齢化や国際化などの課題に積極的に取り組む同院は、日本の医療を牽引する存在ということができるでしょう。2016年4月に院長に就任した天野 篤氏に、意気込みや今後の展望を聞きました。(取材日:2016年6月9日)

先進的な取り組みで、医療の質向上や国際化を牽引

――新棟が完成し、設備が充実したことに伴い、今後力を入れていこうとしている取り組みを教えてください。

 新棟建設を含む 「順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業」は、創立175周年を記念して2013年に計画されたものです。外堀通りに面した新棟は高層棟と低層棟に分かれ、高層棟は2014年、低層棟は今年4月に完成しました。秋にはここに周産期センター、難病の診断と治療研究センターがオープンします。また、白血病治療のための無菌室が新棟に移り、病床数も現在の4床から27床の専用病棟として増床されます。

 産科や小児科医療、難病の治療・研究はもともと当院の診療の柱ですが、医学の進歩に伴う医療の高度化に対応し、患者さんのニーズに質の高い医療で応えるためには、設備やマンパワーをいっそう充実させる必要がありました。

 周産期センターは、生殖医療が主要な取り組みの1つになります。順天堂大学医学部附属浦安病院が浦安市から卵子凍結保存に関して助成(2015年度から3年間)を受けていることから、その経験と知識を共有し、当院での治療に生かしていきます。

 大学病院には、臨床と研究を結び付け、再生医療など新しい治療法の開発や創薬につなげるという重要な役割があります。難病治療センターはそれを象徴するものでしょう。国が指定する難病は現在306疾病あり、患者数は約150万人に上ります。生涯を通じてこれらの難病と付き合っていく患者さんと真剣に向き合い、できるだけ長く普通の生活を送れるよう、有効な治療法やケア法を研究開発することを目指しています。

――国際化に向けた事業も進んでいると聞きます。

 国際化は大きなテーマです。日本の医療の国際化を当院がリードするという意気込みで取り組み、2015年12月には、JCI(Joint Commission International:米国シカゴに本拠地を置く非営利団体)の国際病院認証を取得しました。国際病院認証とは、その国の医療を牽引する国際的なリーディング病院に対して発行されるもので、全国に84ある(2015年11月時点)特定機能病院の中では日本初です。

 患者さんの国際化は急速に進んでおり、医療そのものにとどまらず文化面への対応も求められています。その1つが、2016年夏に完成する礼拝室(Prayer Room)です。国際空港などでは礼拝室の整備が進んでいますが、医療機関としては先進的な取り組みです。

 イスラム教の方やベジタリアンの方など、あらゆる宗教・文化に対応する食品等を扱う売店も同時期に開設します。

 順天堂大学には2015年度に国際教養学部が新設されました。学部間の交流を活発化させ、そこに集まる多様な人材の力を病院運営に生かせるような仕組みをつくろうと考えています。

天野 篤(あまの・あつし)
順天堂大学医学部附属 順天堂医院院長
1983年日本大学医学部卒業。新東京病院心臓血管外科部長、昭和大学横浜市北部病院循環器センター長・教授などを経て、2002年より順天堂大学医学心臓血管外科教授。2012年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀。16年4月より現職。
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